秋のお茶席にもおすすめな、甘さ控えめの和菓子とは?
茶道の和菓子と聞いて一番にイメージするのは、餡や和三盆の甘ーい和菓子でしょう。
しかし、練り切や薯蕷の餡子とはひと味違う、味噌味風味の和菓子があります。
主に、秋のお茶席で使われる「松風」といいます。
秋の茶席菓子であるとはいえ、お店では1年中購入することができますよ。
餡子ではなく、味噌風味の松風
味噌松風は、小麦粉に砂糖、麦芽、白味噌を混ぜ、白味噌の麹でひと晩発酵させてから焼き、仕上げに芥子のみを振りかけた焼き菓子です。
生地は、カステラのようなふわふわとは違い、もっちりとした重みがあります。
京都の地下鉄烏丸線・北大路駅から市バスに乗り換えて3駅。大徳寺前に、和菓子「松風」で有名な「松屋藤兵衛」さんは、松風で有名な和菓子店。
松屋権兵衛さんの松風には、さらに生地に大徳寺納豆が混ぜられていて、塩味がきいたアクセントになっています。
なぜ「松風」という名前なのかは、色々な説がありますが、一つには、味噌松風の裏側にはけしの実がついていなくて白く寂しいので、松林に吹く風音の「うら寂しさ」にかけて「松風」と名付けられたと言われています。
こちらは、自宅用の10個入り商品です。
味噌の香ばしい香りがします。
能とも深い関係が?!松風の由来
能の演目にも松風があります。舞台は、やはり月の美しい秋です。
須磨に流された在原行平は、姉妹「松風」と「村雨」を寵愛しましたが、都へ帰ることになり、その恋は報われずに終わってしまいます。
「立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる 待つとし聞かば いま帰り来ん」
お別れですが、因幡の山の松のように待っていると聞いたら、すぐにでも帰ってきましょう、という意味です。能「松風」は、この歌がベースになっています。行平は能舞台には登場はせず、主人公は松風という女性なのですが、松風は、幽霊となってもなお、行平の姿を探し続け、昔を懐かしんでいます。
一見、年中おいしい味噌風味のお菓子からは想像もつきませんでしたが、こんなにうら寂しい物語があったのですね。
和菓子の松風と能の松風が、本当に関係があるのかはよくわかりませんが、無関係ではなさそうな気がします。
松屋藤兵衛
木製の純・日本家屋の佇まい。この風情に引きつけられ、ふらっと入って来られる外国人観光客もいらっしゃるそうです。
店内に入ると、お味噌の良い香りがします。
茶席の干菓子や、御進物用の箱入り松風もありました。
京都には、松風で有名なお店がいくつかありますが、松屋藤兵衛さんは、大徳寺前ということで、大徳寺納豆が入っていることが特徴です。
このエリアは「紫野」という地域なので、「紫野松風」と命名されています。
和菓子の餡や和三盆の甘さが苦手だという人も、味噌風味のこの和菓子は、ひと味違って好きになられるかもしれません。
松屋藤兵衛
京都市北区北大路大徳寺バス停前
TEL 075-492-2850
営業時間 9:00―18:00
定休日 木曜日
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